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「今度は真斗も一緒がいいわね。一人っ子で他に年の近い親戚もいないから、蒼良くんに会えたらきっと喜ぶわ」
沙織が話すのにも、蒼良は今一つ理解が追い付かないようできょとんとしている。無理もない。
「うん、そうしよう。美保ちゃん、いつならいい? うちは週末なら──」
「ママ、どうしたの? どっかいたい?」
「ちが……」
洋介の問い掛けに唐突に顔を覆って泣き出した美保に、真っ先に蒼良が反応した。
心配そうな息子にも、彼女はなかなか声が出ない様子だ。
新しい親族。
同じ『秘密』でも最初の絶望とはまったく違う意味を持って、沙織と真斗の人生に加わった二人。
息子に早く知らせたい。「欲しがってたお兄ちゃんじゃないけど、違う『お兄ちゃん』ができたのよ」と──。
ああ、そうだ。
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