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洋介とも、少しずつ第二子の計画の話はしていた。
未だはっきりとした結論は出ていないが、少なくとも絶対ありえないという状況ではない。……なかった。
しかし、もしあの少年が洋介の子なら? その場合、真斗があれほど切望していた兄になるのだ、というのも皮肉なものだ。
──たとえそうではなくても、美保と夫に何らかの関係がある可能性は低くないと沙織の直感が訴えていた。
蒼良は、そして美保もたまたま洋介に会って助けられたわけではない。それはもう確信している。
一緒に過ごしていたところだったのは間違いないと沙織の中では結論付けていた。問題は、何故一緒にいたか、だ。
もし夫が沙織を裏切っていたら。
親の不貞で散々苦労した彼は、言葉にするまでもなく軽蔑しているのが明確にわかる父親と同じ轍は踏まないと信じていた。
実際恋人時代から「不倫だけは許せない」と、そういった話を見聞きするたびに零していたほどだ。
潔癖とさえ感じる彼を、心の底から愛して信頼していたのに……。
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