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もちろん蒼良が洋介の子かどうかも瑣末事ではないが、沙織にとって本題でもない。
もしあの少年が洋介の実子なら、沙織は結婚前から騙されていたことになる。出逢って付き合い始めたのは大学時代だが、結婚は四年半前。
蒼良はどう見ても四歳未満ではなかった。
つまりそういうことだ。
しかしたとえ蒼良と洋介には繋がりなどなく、彼女とは一時の気の迷いだとしても裏切りに変わりはない。
どちらにしても、この先彼と共に生きるのは無理だというところに行きついてしまう。その感情は、おそらく洋介が最も理解できる筈だ。
離婚しても、仕事もあるし両親もいる。住む家もある。一人で真斗を育てていくことはできるだろう。
しかし、それは即ち息子から大好きな父親を奪うことになるのだ。
──どうして? 洋介。私は、私と真斗はあなたの何だったの?
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