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《洋介、話があるの。時間取ってもらえない? 週末でいいから》
三日後の火曜日の朝、職場に着く直前。
直接切り出す勇気がなくて、沙織は夫にメッセージを送る。
家庭内では息子の手前もあって二人とも努めて平静を装ってはいるが、沙織は貼り付けた仮面ももう限界だった。真斗の前で爆発する前に、何とか決着をつけてしまいたい。
《わかった。早い方がいいなら僕は今日でも構わないよ。悪いけど、その間真斗はお義母さんに見てもらえるかな?》
シンプルな返信。
何ら理由を訊くこともない彼に、かえって深刻さが際立つ気がした。洋介も妻との間に生まれた火種は十分承知なのだろう。
《じゃあ今日。夕食後に》
こちらも用件だけのメッセージを作成して送信すると、母に電話を掛けて真斗の世話を頼んだ。
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