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悠月は机をペンでコツコツと叩きながら訊いてくる。まるで小学校の先生だなと思ったが、もちろん口には出さない。小言の時間が長くなる。
そんな悠月は長い黒髪が特徴の、美人の部類に入る女子だ。しかも学力優秀。才色兼備をそのまま行く人物である。
片や牧野慧は、どこをどう見てもオタクな感じむんむん。やせ細った身体に、だぼだぼの服装。冴えない顔。そしてぼさぼさの頭。理系であることも手伝って、駄目な感じが全体から流れる、どうしようもない奴だった。
「滅相もございません。あなたがいなければ、俺は単位を落とし、延々と一年生をやっているところでございます。ゲームなんかの百万倍大事です」
慧はへこへこと謝り、机に額を擦り付ける。みっともないが、見捨てられると本当に大学を卒業できなくなる危機だ。周囲の何あれという視線も無視し、真剣に謝る。
そんな二人は幼馴染みだというのだから、世の中捨てたものではないのか、何なのか。慧はこの才色兼備の悠月と、小さい頃からずっと一緒に育っている。しかし出来上がりは以上のように、正反対である。
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