偽りの島に探偵は啼く

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「そう言われてもねえ」  倫明だって、高校生なのにこのプロジェクトを任されているのだ。めちゃくちゃ困っている。それなのに、お得意の一言と言われたって、それ以上のコメントのしようがない。ついでに言えば、まだ学者じゃないと反論したい。 「何だよ。お前って祖父さんからあれこれ聞いて、物理学者を目指すって決めたんだろ。親父の反対を押し切ってまでさ」 「いやまあ、きっかけはそうだけど。俺が研究したいのは素粒子といって、お祖父ちゃんの興味とはちょっと違うんだよね」 「へえ。そうなのか。まあ、聞いても解らなんから説明しなくていいが」 「ああ、そう」  そうすぱっと言い切られると、こちらも説明する気はなくなる。それに簡単に説明できる内容でもないから、深く訊ねられなくてラッキーだ。 「でも、一応は理解しているんだろ。何をやるのか」 「それはもちろん。とはいえ、これは高校生だけじゃ無理だ。大学の協力が必要不可欠だよ」
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