偽りの島に探偵は啼く

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 おかげでいつもと違って、美樹が発破をかけることになる。  日頃便利屋のように使われている頭脳を、今こそ駆使すべきではないか。  時には高校生探偵なんて呼ばれることもあるのに。 「まあね。ただし、ここにいた人たちには不可能だった、という条件が課されている。となると、何か小説のようなトリックを使ったことになるね」 「ううん。しかもそれを台風の中でってことよね。条件が厳しすぎるか」 「そういうこと。同じく台風で外部からの侵入は考えられないから、この中に犯人がいると考えるのは妥当だ。しかし、トリックに対しての解答は導き出せない。というわけで、全員で固まっているのが最も安全かつ次の犯行を起こせないとなる」 「そうだけど」  固まっている限りは別の犯行を起こすことは不可能だ、というのは美樹も納得できる。問題を棚上げすることにはなるが、被害者を増やさない最善策というわけだ。しかし、普段の朝飛の活躍から考えれば、そのトリックを見抜くことも可能ではないか。 「そのことですけど」
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