偽りの島に探偵は啼く

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「ええ」  それに関して意見はあるか。それを日向は聞きたいようだ。しかし、何も解っていないのに、彼らに可能だからと決めつけるのはよくないだろう。それに、そういう先入観が別の問題を生む可能性だってある。 「ええ。それが一番困るところです。だからまず小宮山さんにと思って、お聞きしています」 「ああ、まあ、そうですけど」  それを相談されたところで困る。それが正直な思いだ。とはいえ、先ほど美樹も気にしていた。当然、他のメンバーも色々と考えていることだろう。  特に、志津が他殺であることは間違いないのだ。この事実を指摘したのが自分であるだけに、何か意見をと求められるのは当然だった。 「亡くなられた田中さんに関して、何か知りませんか。例えば、倫明さんと仲が悪かったとか」 「ううん。それはないと思いますね。相手は大学生ですし、倫明とだと研究したい分野が全く違うし、接点がないですよ。今回は初期宇宙の研究ということで呼んだというだけで、倫明が以前から田中さんのことを詳しく知っていたとは思えません」
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