偽りの島に探偵は啼く

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 その前に個別に話を聞かせてくれ。  こういう言い訳を用いて、朝飛はそれぞれから話を聞き出すことになった。この場合美樹は除外されてしまうが、美樹からは後で話を聞くことが可能だから問題ない。  最初はなぜか俺からと立候補した健輔からだった。そしてレストランを出てすぐそこの談話スペースで話を聞くことになる。その付近には志津の死体が寝かされいるから、事件の話題を振りやすいというのもあった。 「あれだよね。小宮山君が事件を解くんだろ。有名だもんね、高校生探偵って」  でもって、すでにこの聞き取りの本質を見抜いていた健輔は、端から研究の話なんてするつもりはないようだった。 「誰が高校生探偵だ。それに解くってわけじゃないよ。斎藤さんからそれとなく、田中さんが恨まれていたような情報はないか探ってくれって言われてね」  そして朝飛も向こうから話題を振ってくれたからと、単刀直入に訊ねていた。 「そうだな。小耳に挟んだ程度でよければ」 「何かあるのか」
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