偽りの島に探偵は啼く

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 朝飛の意見を聞いて呆れた直太朗が、きっちり解明すべきですよと訴える。 「じゃあ、石井さん。代わってくれますか」 「無茶言うなよ。こういうのは、聞ける人と聞けない人がいるし、解明できる人と解明できない人がいるんだよ。何事も適材適所。推理小説なんかでもそうだけど、こういうのってカリスマ性が必要だよ」 「そんなわけあるか!」  よく解らない理論を持ち出す直太朗に、思わずツッコミを入れつつ、これはどうやっても代わってもらえないらしいと溜め息だ。昔から目立つタイプと言われ続けてきたが、こんな場所でまで目立っても仕方がない。 「で、田中さんについてだよね」 「そうです。何かトラブルがあったとか知ってますか」  うんざりしつつも、取り敢えず情報を集める朝飛だ。ひょっとしたら情報から日向が解いてくれるかも。そう期待するしかない。 「そうだねえ。重力理論の人でしたから、うちとの接点はないからねえ。今回も加速器がある場所での研究会なのに、重力理論の人がいるのかって、正直、驚いたよ」 「ふうむ」
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