偽りの島に探偵は啼く

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 確かに初期宇宙の問題において、重力問題が絡んでくることは少ない。むしろその莫大なエネルギーがどこからもたらされたのか。こちらに注目が行く。それに重力が発生するには物質が必要だ。つまり、初期宇宙から少し経った後の議論になってくる。 「スタートだから、倫明が呼びやすい人たちだったってことだろうさ。ある程度は佐久間ホールディングスで選考していただろうし」 「まあ、そうだろうね。佐久間君、小宮山君が来るから是非にって言ってたし、本人が積極的に選んでいるって感じじゃなかったかな」 「あの野郎」  マジで言ってたのかよと朝飛は歯ぎしりしてしまう。  確かに自分の知名度がある程度あることは知っているが、招待客を呼ぶ口実に使うなんて。そりゃあ船で睨まれるわけだ。あの刺さるような視線の原因の一つは、倫明にあったことになる。 「仕方ないよ。いくら佐久間ホールディングスが有名でも、この研究所は出来立てほやほや。何の実績もないんだ。そこに高校生や大学生とはいえ、研究のために呼び出そうとすれば、広告塔になる人が必要だよ」 「こ、広告塔」
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