49人が本棚に入れています
本棚に追加
/269ページ
「クールに出来ないの? その方がカッコイイわよ」
「そう苦情を言われましても、これが素ですから」
どうして日頃から取り繕って生きなければならないのか。アイドルじゃあるまいし、ただの高校生にそんなスキルは要らない。
というか、そんな取り繕う日々はもうごめんだ。
思わず拳を握り締めてしまう。
「まあ、だから真剣に交際を申し込まれたのは事実みたいよ。あんまりにも真剣で重たいって思ったって言ってたし」
「重たい」
話題が代わり、朝飛はゆっくりと手の力を緩める。
「ほら、結婚前提ってやつ」
「ああ」
「大学生とはいえ、結婚願望があるってことよね。でも、女性にとって結婚は大問題。決断はそう簡単に出来るものじゃないわ。男と違ってダイレクトにキャリアに響くからね。これから学者として活躍したいと願っていたら、ちょっと無理って断っちゃって当然よね」
「へえ。そういうものですか」
解らん。それが正直な朝飛の感想だ。それは真衣にしっかり伝わってしまったらしく、思い切り呆れた目を向けられた。どうにもここにいる全員に呆れられてしまっている。
「そんなに俺、ずれてますかね」
最初のコメントを投稿しよう!