偽りの島に探偵は啼く

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「ううん。まあ、女性のキャリア問題は別として、それだけいい顔をしていて、恋愛に一切興味がないってのがねえ。言い寄ってくる女子だっているでしょうに。下手すると同性愛者かしらって疑われるわよ。  小宮山君、興味の対象は異性よね。川瀬さんと仲良くしてるし。そうだなあ、典型的物理学者と思えば、ううん、無理かあ。もう少し男女の機微が解っているって思っちゃうのよねえ」  真衣がなんとかカバーできないかと奮闘するが、無理であるらしい。朝飛はがっくりだ。  ついでに、一応であるが、異性愛者だということは伝えておく。変な誤解をされるとそれはそれで迷惑だし、何だか日向を巻き込みそうな気がした。  そういうことだけは素早く察知してしまう朝飛である。 「それより事件。小宮山君、事件をさくっと解決すれば、総てを返上できるわよ」 「いや、別にポンコツと思ってもらった方が楽な気がしますが」 「それは無理ね」 「な、なんでですか」 「やっぱ、顔と雰囲気が」  だから、そんなどうにもできない部分を持ち出して指摘されても困るんだよ。  朝飛は事件とは関係ない部分で悩まされるのだった。
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