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ツチノコがいると度々話題になるのは何故かなんて、本当にどうでもいい。そもそも物理に、いや、科学に関係ない質問を受け付けてどうするというのか。そんなものは民俗学を追い掛けている文芸部に任せておけばいいのに、あえて地球外の生物である可能性はあるのかなんて、話に乗ってあげるんだから。
「困ったものよねえ」
「ううん。じゃあ、同じ部の川瀬さんを連れて行っても大丈夫かな」
「はっ」
自分の名前を呼ばれ、思わず大きな声を上げてしまった。美樹はしまったと思うも、整った朝飛の顔がこちらを向いている。首を竦めようとしたら、ちょっとこっちにと手招きされた。
「川瀬さん、夏休み、暇だよね」
断定かよ。
美樹は少し見栄を張ってやろうかと思ったが、朝飛に対してそんなことをしても無駄であることは学習済み。ああそうの一言で済まされる。会話が続かなくなる。
「暇だね。何かあるの」
「一か月、小笠原近辺の島で研究しないか」
「は?」
しかし、お誘いは素晴らしく予想外のもので、美樹は思わず訊き返す。
一か月、小笠原で研究だって。
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