偽りの島に探偵は啼く

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「そう。で、さっきの電話の相手の佐久間倫明(さくまのりあき)。こいつは知っているだろ。この間の科学部交流で会った、G県の高校生だよ。この佐久間は繁明の孫にあたるそうで、お前が実験に関して仕切れと、いきなり命令されたんだそうだ」 「な、なるほど。それで手っ取り早く、意気投合していた小宮山君に連絡が来たってことか」 「まあね。俺にサポートしてくれって言うんだけど、そこまでは無理かなと思っている。でも、大学に入る前に高度な研究に触れられるいいチャンスだし、何か面白いヒントが得られるかもしれないしね。参加する意義はあると思ったんだ」 「はあ。しかし、宇宙の始まりかあ」  研究内容としては、見事に朝飛が研究したいと考えている内容と合致している。しかし、なかなか荒唐無稽な話ではないか。そう感じてしまった。  それもそのはず、この宇宙の始まりに関しては多くの研究者が理論を打ち立ててはいるものの、実験不可能とされている。というのも、初期宇宙は超高温高エネルギー状態であり、それを地球上で再現することが不可能だからだ。
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