ひまわり

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 194×年12月×日、私は真珠湾上空にいた。 高度3000メートルから大型爆弾を投下する水平爆撃機に搭乗している。  攻撃を完遂し、僚機とともに第一陣の任務を終え空母へ帰艦中である。  眼下には雲間から、いたるところで敵艦船から立ち上る黒煙が見える。  何機か被弾し、最後の戦いとばかり敵艦船と敵基地へ突っ込んでいく。  あらかじめの申し合わせ通り、帰艦困難と判断された場合は、体当たりを決行することになっていた。  後に、私自身が特攻隊として出撃することなど、この時は予想もしていなかった。            ※ 「芳江さん、この戦争が終わったら・・・」 私は今、どんな約束もできないような気がして言葉がつながらなかった。 「星志さん、必ず帰ってきてください」芳江は大きな目を私に向けた。 「もし、帰らないことがあったら、その時はもっと良い人を見つけて幸せになってください」私はこれだけはどうしても言っておかなければならないと思い言葉をふりしぼった。 「ずっと星志さんを待っています」芳江はきっぱりと言った。
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