夏の夜の…

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 昨日一日中降り続いた雨のせいで朝からひどく蒸し暑い。  自転車で風を切って進むも、それは生ぬるい外気を自分に浴びせかけているだけだ。  朝からうるさい蝉の鳴き声を聞きながら、まともに鋪装されていない凸凹の田舎道を学校まで向かう。  大きな水溜まりは器用に避け、出会った近所の人には挨拶を。それが俺の日常だ。でもその日は、ちょっとした非日常が目の前にいた。 猫の亡骸──  車に轢かれただろうぶち猫は口から血を流しピクリとも動かない。  俺の地元は田舎であるが、星空が綺麗なことが有名で夜遅くなると街の方から車が多くやってくる。もしやこの猫もそういう車に轢かれたのかもしれない。いやでも、昨日は雨だったし星は見えないか……なんてことを呑気に考えながら俺は自転車から降りると、ソッと猫を抱き上げて道の脇の雑木林へと入る。
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