妖怪警報発令中!

3/5
前へ
/6ページ
次へ
* * * *  さて、どうしてこうなったんだっけ……仰向けに布団に寝転がっていた智絵里は、ぼんやりと天井を眺めていた。両脇でおしゃべりを続ける娘たちに、何度も「しーっ」と口の前に人差し指を立てながら静かにするよう伝える。しかし一向に終わる気配のないお喋りに、智絵里のイライラ度数が上がっていく。 「ママ、怖いから一緒に寝て!」 「だって枕返しが来るかもしれないよ!」  そんなふうに言われては、もう小学生なんだから子どもたちだけで寝なさいとは言えず、仕方なく添い寝をすることになったのだ。  あーあ、これから食器を洗わないといけないし、洗濯をして干す作業も残っている。明日の朝食用のお米を研ぐでしょ、娘たちの水筒を洗うでしょ、それから……そう思った時だった。  ガチャン、という音がし、咲良と芳乃のお喋りが止まる。 「な、何の音……?」 「怖いよ、ママ……ドキドキする……」  二人は智絵里にピタリとくっついて離れようとしない。ハッとした咲良が頭を上げて芳乃に囁きかける。 「もしかしたらぬらりひょんかもしれない!」 「どうしよう! お茶の準備してないよ!」  ソワソワし始める二人を見ながら、智絵里は笑いを堪えるのに必死だった。  いやいや、どう考えてもこの時間にドアを開けるのはパパしかいないでしょ! その考えが吹き飛ぶくらい、頭の中が妖怪一色になってるなんて可愛いんだから。 「ママ……ぬらりひょんだったらどうしよう……」  咲良が怖々口にした時、ゆっくりと子供部屋の扉が開いたため、二人は智絵里に抱きつき叫び声を上げた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加