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* * * *
二人をようやく寝かしつけてからリビングに戻ると、力が抜けたようにソファに倒れ込む。
子どもが家にいる時間って、本当に肉体労働。精神面も削られるし、寝かしつけを終えるとやっと正常な呼吸が出来る。
そこへ恭介が浴室から出てきた。
「おっ、寝かしつけ終わったの? お疲れ様」
「……ついさっきね。ママの方が妖怪よりも強いんだって言ったら、二人とも安心して寝ちゃったわ」
「あはは! 確かにその通りだ」
笑いながら隣に腰を下ろした恭介を、智絵里はキッと睨みつける。しかし恭介はなんとも思っていないようで、笑いを堪えようともしない。
「わかってないなぁ。俺はそういうツンデレな智絵里が好きなのに」
突然名前を呼ばれ、智絵里の胸が高鳴る。それから恭介の手が伸びてきて、智絵里の体をぎゅっと抱きしめた。耳元に恭介の息が吹きかかるたびに智絵里の心臓は早鐘のように打ち続け、ドキドキが止まらなくなる。
「妖怪より強い智絵里をドキドキさせられる俺って、もしかして最強だったりして」
「……バカ恭介」
そして二人の唇が触れ合った瞬間。
「パパったら何やってんの〜?」
「あっ! またママにチューしてたんだ!」
咲良と芳乃がソファの真後ろに立って、ニヤニヤしながらジャンプをしていた。
「えっ、あっ、二人とも寝てたんじゃないのか⁈」
恭介と智絵里は真っ赤になった顔を見合わせると、苦笑いをする。
「だって喉渇いちゃったんだもーん! パパがママにチューしてた!」
「パパがママにチュー!」
「ちょ、二人とも! 麦茶飲んだらパパと寝よう!」
「パパと⁈ やったー!」
麦茶を飲ませてから、恭介ははしゃぎ回る二人を先に寝室に向かわせる。そして智絵里の元に小走りでやってきて、
「続きは子どもたちが寝てから」
と小声で呟いた。
「はいはい」
そう返事をしながら恭介の慌てた様子を思い出し、智絵里は思わず吹き出した。なんだかんだ、我が家で最強なのは娘たちなんじゃないかしら。だってあの子たちの一挙手一投足に、こんなにドキドキさせられてるんだから。
さてさて、恭介はどれくらいで寝かしつけられるかしら……。
* * * *
それから三十分後、寝かしつけを終えた恭介がドキドキしながらリビングに戻った時には、智絵里はすっかり夢の中だった。
暗いバージョンのイラストです☆
ひまわりさん、本当にありがとうございます!
ではおやすみなさい……(p_-)
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