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「驟雨!」
彼女の叫び声は、万華鏡色の洪水が、怒涛の旋律が攫っていった。
ぴりりという音と共に、それは瞬く間に炎天を埋め尽くしたと思えば、白はさっと朧に隠れる。
だが万華鏡色はその足を止めない
滝の音は愈々迸り、その音をもって空を、大地を統べてゆく
束の間の蝕が君臨したのだ
月影が白を
段々と、段々と
喰んでゆく
白い熱はすぼまり
眩しげな万華鏡色を
段々と、段々と
凛とした玻璃の色へと
迸るその音色と共に
段々と、段々と
万華鏡色を
段々と、段々と
空へと天へと
還して、唄う
雨が照り返すは、不可思議、那由多の玻璃の色
滝の唄は迸り、玻璃色は地面に当たり、弾けて白銀を唄う
怒涛は天に、空にこだまして
月影は白を空色に喰む
それはゆうるり、ゆうるりと
白の熱を攫いに来る
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