つむぎとナナコ

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 約束をして一ヵ月もしないうちに、白木カエや他生徒への嫌がらせがなくなったと小耳に挟んだ。  彼女のまわりには、以前より人が増えた気がする。更生したと思われているのだろう。それなら、結果的には良かったのかもしれない。  放課後、今日も誰もいない教室で、私は七奈子を抱きしめる。艶のある黒髪を撫でながら、頬を擦り合わせて。  まるで、雨に打たれる子犬を慈しむかのように。 「あなたはかわいい。世界一大好きよ。なにがあっても、私が必ず守ってあげるから」  そうすると、七奈子は瞼を閉じて抗うことをやめるの。鎖で繋がった手を腰へ回して、自らを委ねている。  思ったより時間がかかったけれど、ようやく取り戻すことができた。もう安心。みんなにも平和な世界が訪れて、一石二鳥でしょう。  ──だって、もう落合七奈子はこの世にいないんだもの。 「お姉ちゃん、大好きよ」 「私も世界で一番大好き。ずっとずーっと一緒だから」 「今度は裏切らないでね、ユイ」                  fin.
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