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全ての欠片
昔私はどうやら恋人が居たらしい、その人は私のプロポーズを受けた後に電車のホームで自殺。
その日がクリスマスだったらしい
その後私は精神をやられてしまい、働いていた会社を辞めて今は実家で暮らしアルバイト生活をしているそうだ、年の離れているはずの妹と弟はもうとっくの昔に成人を迎えており、私と年齢は妹は二つ弟は四つしか変わらないらしい確かにアルバムを見た時に兄弟で写っている写真に年齢差はあまり感じられなかったがまさかこんなことだったなんて、思いもしなかった。
当時最愛の人を亡くした私の記憶からはクリスマスの楽しかったはずの思い出は全て無いものとされていたらしい。クリスマスの行事も、クリスマスの楽しい雰囲気もも全て我が家からシャットアウトし全てを忘れさせる事にした、クリスマスのあの記憶が蘇らないように。ふとした瞬間に電車のホームに落ちないように私の家族は必死だった。
そんなハズは無い、私の恋人は亡くなってなどいない確実に生きているはず
全て思い出した あの時 あの場所 あの時間
全ての事を思い出した私は号泣しながら
暴れた
弟と妹に取り押さえられながら体全体を使って大暴れした
「ゔゔぐゔぎぎーーーぇぇぇぇ」
喉がカッ切れるくらい泣き叫んだ
そして気がついたらまた朝だった、昨日の記憶が鮮明に残っている。気づきたくなかった聞かなければ良かったと激しく後悔した。
見渡すと知らない部屋恐らく昨日泣き叫びすぎて病院にでも運ばれたのだろうと思い、
隣にいる母に少し昨日よりは恐らく落ち着いたと告げ、話の続きを聞くことにした。
母は号泣しながら私に
「ごめんね 」「ごめんね」と何度も謝ってきた。私はそんな母の姿は見たくなかった
そして全ての真相を話してくれた、私は涙が止まらなかった。
どうやら私の記憶は当時のまま止まっているため、実年齢は進んでいるが精神年齢は当時のまま止まっている。
妹と弟が成人しているのに受験勉強をしていたのはその当時のままの家庭環境を作り続けていたためだった。
私は脳外科医の先生に診てもらった所記憶の海馬が壊れているため、新しい記憶が入らず古い記憶だけが残っているそれもずっと同じ環境を作らざるを得ない理由の一つだそう。
私は恋人が亡くなった事を受け入れられる状態では無いことも告げられた、ちょっとした事でパニックを起こし周りに迷惑をかけてしまうレベルであることも告げられた。
そして夏にクリスマスの記憶を思い出す理由は私の誕生日が近いからと言われた、誕生日を迎えて年齢を重ねることも出来ないらしい
恋人は生きていれば28歳私も本来は28歳
私の記憶は22歳で止まっている。
なのでずっと同じ事を6年も家族にやらせている。弟はずっと受験生 妹はずっと反抗期
その事実を聞かされ呆然とする私、となりで神妙な面持ちで私たち親子を見る医者
そして医者から一言「今年もダメでしたか」と、どうゆうことだろうと思い聞いてみる。
「あなたは毎年この時期に記憶を消しています」と衝撃的な一言記憶を意図的に消すことなんて出来るのかとそっちの衝撃だった。
「毎年錯乱状態になりながら記憶を消すので知らなかったと思いますが」と言われた。そして毎年この話をしているのかと思うとなんとも言えない気持ちになった、母が「今年もですか」とポツリと呟いた何だか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
そして私は麻酔をして眠りについた。
そして 私と年の離れた兄弟と元気な両親そして アルバイトの私の幸せな生活がまた始まろうとしている。
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