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「ただいまー」
午後6時。
歩が家に帰ってきた。
僕は歩より20分ほど早く帰宅し、自室にいた。
「おう裕樹!俺さ、また彼女できたわ」
昨日までの不機嫌さが嘘のように、爽やかな笑顔で報告してくる。
「彼女3人目だよ?3人目。同時進行とかできるかな〜」
「歩。今日舞香と話したんだけどね、また三人で遊びたいって言ってたよ」
「は?舞香?」
「うん。けど、彼女が3人もいたら忙しくなるの…かな?だからほんとにたまにでいいんだけど…」
「悪いけどお前らみたいな底辺と遊んでる余裕なんて無いんだわ。一緒にいても映えねえし。俺のイメージが悪くなんじゃん?」
「底辺……?」
「そーだろwお前は言わずもがな、舞香とか俺の歴代彼女の中にもいないレベルのブスだからww」
「ブス………」
僕は歩の言葉を聞きながら、舞香の笑顔を思い出していた。
僕に気持ちを打ち明けたときの照れた顔。
みんなでまた遊びたいと言ったときの無垢な瞳。
僕を褒めてくれる時の……優しい声。
僕は気づいたら机の上からカッターを取り出し、歩の部屋の方へと向かっていた。
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