いらないものを、僕にくれる兄

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僕が彼女を作らない理由。 それは、自分の事で精一杯であるということだけではない。 「裕樹!!今回のテスト、赤点回避したの何教科だった?」 同じクラスで幼馴染の舞香(まいか)が放課と同時に僕に話しかけてきた。 「今回は全科目回避したよ……」 僕は席の前に立つ舞香を押しのけて、リュックを背負った。 「すごいじゃん裕樹!!前回は7科目取って怒られてたのに!」 舞香は僕を追いかけるように明るい声を出す。 「…もう怒られたくないから、前よりはまともに勉強しただけだよ…」 「本気で勉強しようと思ったのも偉いし、それが結果に繋がってるのがすごいよ!」 キラキラした目を輝かせ、ボブカットの艶のある黒髪を揺らしながら舞香は言う。 「……ありがと……」 僕はまた舞香から目を離し、まだ何か言いたそうな舞香を無視して教室から出た。
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