いらないものを、僕にくれる兄

舞香は、僕と歩が幼稚園児の時から遊んでいる唯一の女子だ。

家が近くて親同士も仲がよく、家族ぐるみで色んなところへ行った。

さすがに中学生以降は遊びに行くことは減ったが、高校まで同じになった僕らは今でも普通に話している。

ただ、歩だけクラスが違うので、高校に入ってから舞香と主に話すのは僕になっていた。

舞香は、僕と歩に平等な態度で接してくれる。

ほとんどの女子が分かりやすく歩にだけ目を輝かせるのに、だ。

それに舞香は、さっきのテストの話のように、何でも僕を褒めてくれる。

褒められるのが当たり前になっている歩に比べて、僕は褒められることなどほとんどない。

それなのに、舞香は多少オーバーなくらいに僕を褒めて認めてくれる。

僕がそんな舞香に特別な感情を抱くのには、時間がかからなかった。