いらないものを、僕にくれる兄

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「高橋裕樹くん!君のこの絵はとても素晴らしい!是非選挙啓発のポスターに採用させてくれ!」 僕は昔から絵を描くのが好きだ。 あるコンテストに何気なく出した作品が選考者の目に止まり、こんな言葉をかけてもらえた。 「ありがとうございます!」 僕は人生で初めて賞状をもらった。 そこに書かれているのは普通の日本語の活字なのに、不思議と一字一字が踊り出しそうなくらい愉快に見えた。 「裕樹!すごいじゃん!おめでとう!」 クラスでは、舞香が僕の席に来てお祝いしてくれた。 「ありがと…!」 この時は不思議と、心から舞香の褒め言葉に喜ぶ事ができた。 「ただいま…!」 家に帰ったときも、いつもより声が弾んでいるのが自分でもわかった。 「おかえり裕樹。何かあったの?」 母が察しよく僕に聞く。 「これ…もらえた」 僕は校長先生から受け取った賞状を母に渡した。 「すごいじゃない裕樹!ポスターになるなんて!」 母は賞状を見て笑顔になった。 僕はそんな母を見て嬉しくなった。 普段はどうしても歩ばかりが褒められているからだ。 だけどそこに、歩が帰宅した。
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