いらないものを、僕にくれる兄

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「おかえりなさい歩。見てこれ、裕樹の絵が選挙関連のポスターになるのよ!」 母は帰宅直後の歩に僕の賞状を見せた。 「……なにこれ、クソダセェ」 歩は母の手にある僕の賞状を一瞥して、吐き捨てるようにそう言った。 「ちょっと歩!?なんてこと言うの!」 「そのまんまだけど。選挙のポスター?所詮地域の選管の奴らが選んだだけのやつだろ。全国区の大会とかで獲った賞でもねぇ。そんなん見せびらかされても…」 「そんなこと言わないの!裕樹だって頑張ったのよ?」 「へぇー。よかったじゃん唯一の取り柄がやっと認められて」 「あ、ありがと…」 「でもさあ?」 歩が母の手から僕の賞状を取り上げた。 そして賞状をじっと読むように目を細めた。 「こんな自己満レベルの賞状、絶対いらねえだろ」 ビリビリと紙が破れる音と共に歩の手から落ちてくるのは、賞状の破片だった。
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