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 青春は短い。  宝石のごとくにしてなんとか……なんて言っていたのは、どこの誰だったか。  「これから会いにいく」  突然、遠距離恋愛中の恋人龍ヶ崎翔琉から、携帯電話にメッセージが届いた。  カフェのバイトがちょうど始まる直前のことで、数時間前の出来事だ。  途端、バイト中にもかかわらず高遠颯斗はそわそわし始めた。  何とかそれでも平静を装い、副店長からの「上がっていいよ」の声に、脱兎の如くバックヤードへ駆け込んだ。  もちろん恋人からの音信をチェックするためにである。  求める相手の名前はそこになく、フライト中かなと想像する。  だったら空港まで逢いに行きたいなと思ったが、すれ違っても嫌なので、もらった合鍵を手に三か月ぶりの龍ヶ崎宅へ独り乗り込むことにした。  長きに渡り家主不在であったがムスクの痕跡残る部屋に、颯斗のそわそわはどきどきへと変化する。鼻腔いっぱい恋人の香りを感じてしまったら、我慢していた分だけ逢いたい気持ちが急激に溢れ出てしまう。  ああ、早く逢いたいな。  あったらどんな話をしようかな。  元気かな。  撮影は順調に終わったのかな。  朝の情報番組で見たハリウッドでの撮影中の姿は、とってもかっこよかったですって言いたいな。  飛行機では寝てくるのかな。  次はいつまで日本へいられるんだろう。
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