ひとつの星の下に

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 複雑なところはあるだろう。  そりゃあ俺だって、もしもいきなりそんなことを父親から言われたら、少しは戸惑うかもしれない。何せウチも片親だ。父子家庭というヤツだ。  そこまで優等生ではないが、それでも迷惑はかけないようにしてきたつもりだ。だけど大変なことだらけだったはずだ。もし再婚すると言っても、俺は祝福したい――。 「復縁らしいけど」 「ぉあ?」  何かまたとんでもないことを言われた気がする。 「しかも、向こうにも子供がいるって言っててさ」 「へえ……。え、ってことは、琴音にきょうだいが居たってことか」 「しかも双子なんだってさ」 「げふっ」 「ちょ。だいじょぶ?」 「……何とか」  ひゅぅっと空気を吸った瞬間、いっしょに唾液の飛沫が気管に突入して来やがった。全く、傍迷惑な。 「いきなり同い年の姉妹が出来るのか……」 「うまく付き合っていけるか心配」 「……まぁ、大丈夫じゃね?」 「他人事だと思ってー……」 「いや、ンなことないって!」  お前の普段の感じなら大丈夫だろう、たぶん。そんなことを思ってみる。  ――が、結局、あまりにも衝撃的な展開を見せた話題のせいで俺は寝坊をし、危うく学校に遅刻するところだった。
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