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ホスピスに転院してからも、僕たち夫婦は毎日たくさんお喋りして、楽しく過ごした。
彼女は、宣告された1年間をホスピスで明るく過ごし、それから3ヶ月後、急激に症状は悪化していった。
小説はここで終わっていた。
タイトル「sunny after rain」
晴れのち雨。
途中で終わってしまったこの小説を書いたのは、3年前に亡くなった私の妻である。
病室の床頭台の引き出しに入っていたものだ。
私たちには子供はいない。
妻は39歳の時、子宮に癌が見つかった。
結婚してから、僅か3年。
妻は私に迷惑をかけたくないからと、入院生活を選んだ。
妻の最期の言葉は「愛してる」でも「ありがとう」でもなく、
「5年経ったら再婚してもいいからね。」
だった。
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