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人目を気にしない弟
ソファーでだらけていると、弟が隣に座り膝に乗せられてしまった。
人を抱き枕感覚で持ち運ぶ弟に慣れてきたものの、体に腕を回されるのは正直苦痛だ。
勝手に私の肩にあごを乗せて寛ぐのはまだ許容出来ても、ポケットに手を入れる感覚で服の中に腕を突っ込んでくるのは我慢出来ない。
驚く事にこれを母の前でもするから正気を疑う。何かしらの感情が欠けているのだろうか?
母も母で大概な性格だった。
私が『これを見ても何とも思わないの?』と服の中に入ったままの弟の腕を指差しても特に反応がない。
たまりかねて『こいつ、この状態でキスしたり舌をねじ込んできたりするんやから、お母さんがちゃんと注意してよ!』と、娘がショッキングな告発をしたにもかかわらず、
『もう高校生なんだからガチャガチャしないの』と主に私に向けて叱るだけ。
注意の仕方が“弟に鼻水つけられた!”と騒ぐ幼児に対するものとなんら変わらない。見栄えの良い弟には激甘でいつも私が悪役だ。
露骨な贔屓をする母とふてぶてしい態度のゴリラに腹が立ち、プロテインに小麦粉を混ぜるという地味な嫌がらせをして溜飲を下げた。
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