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地味な報復の仕方
基本的に【やられたらやり返す】のが私の信条なので、反撃の機会を逃さない。
弟のスニーカーにスルメを貼り付けたり、長靴の中にスライムを仕込んだり、消しゴムを切り餅にすり替えたりと、ちょっとした精神攻撃を繰り返してきた。
ある日、弟が無防備に携帯を置いたまま風呂に籠もったので、さっそく嫌がらせを開始。
電話帳からランダムにチョイスした相手の名前を【チンギス・ハーン】【マルコポーロ】【千利休】に変換。ついでにプロフィール画像を黒光りしたマッチョに設定し、画像フォルダには大量の力士たちで溢れさせる。意味は特にない。
単純に、偉人からの着信に戸惑う弟を想像するだけで気分が晴れるし、相撲部からあらぬ疑いを向けられれば、なおさら愉快。
と、思っていたが、力士はすぐにバレた。
噛み付き癖のある弟が、両頬を引っ張るだけのごく一般的な暴力を振るい『次やったら泣かす』と言って筋トレに消えた。頬は痛むが、まだ全然余裕だ。
次はもっと巧妙な嫌がらせを仕込もうと心に誓った。
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