アッサム知ってる? 熱心な布教活動

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アッサム知ってる? 熱心な布教活動

  「アッサム知ってる?」  深夜、ベッドでうとうとしていた私の足元から聞こえた、ネチャっとした中年男性くらいの声。足の裏から頭の先まで鳥肌が立つような気持ち悪さを感じた。 「ねぇ、アッサム……アッサムだよぉ。アッサム」 足元から聞こえていた声が次第に頭の方へ移動している。目を閉じたまま、体を動かすこともできない私はただじっとそれを聞いていた。 「アッサム、知ってるよぉ。アッサム、知ってるんだよぉ」 体感的に10分くらいだろうか、足元と枕元を行き来しながら壊れたラジオのようにずっと繰り返している。 最初はこの正体不明の声に気持ち悪さを感じて怖がっていた私も、時間が経つにつれて怖さが薄れていった。 アッサムってあの紅茶のアッサムのこと? もういい加減終わってよ。 はいはい、アッサム美味しいね。 アッサム、アッサム。 足元から枕元への移動とアッサムを繰り返し唱えてくるそれに対して、心の中でそう返していた。 そしてアッサム、アッサムと返したときだった。 「アッサム…アッサム!アッサムゥー!!」 子供が駄々をこねた時のように騒いで消えた…気がした。 最初からずっと目を閉じたままだったが、何となく消えた気がした。 目を開けてゆっくり起き上がり、足元を確認したが何もいない。 もちろん枕元にも。 そして私はすぐにスマートフォンで調べた。 <アッサム> ーインドのアッサム地方でつくられる紅茶の総称ー そう、紅茶。アッサムは紅茶の総称。 何かのおまじないなのではないか、呪いの言葉か?と色々調べてみたが、 やはり紅茶の総称以外にあてはまりそうなものはなかった。 では、ほんとうにただアッサムについて言いたいだけだったのだろうか。 翌朝、私は母たちに昨夜の話をした。 昨夜私のもとに現れた熱心なアッサム布教活動家について。 「ねぇ、アッサム知ってる?」
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