利香と実絵：幻想から生まれたゲーム

「今回は、なんとしても最高の作品を仕上げるわよ！」
　と言いながら利香(りか)は、専用パソコンとペイントパッドを前に悩みまくっていた。

　東京はＳ区のワンルームマンションに住んでる彼女は、Ｒ区にある、総合ゲーム企画会社『Ｑブレーン』で働く彼女は、ゲームクリエィターだ。
　ブラウンの髪は肩あたりまであり、ほそ表でととのった顔の三十二歳の独身だった。
　一方、この『Ｑプレーン』というビルは十階建てなのだが、それぞれのフロワーにクリエイターは１人という、少々変わった企業なのだった。

「あー‥‥もー！　今ごろ妹の実絵(みえ)は、ニューヨークで楽しくインストラクターをしてるんでしょうねー！」
　と利香は、電子ペンを放り上げた。