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それから間もなく夏休みに入った。
俺は、猫宮まなつの親に「少しでいいから、よかったら娘のことを今後も気にかけてあげてほしい」と連絡をもらい、俺自身、猫宮まなつのことが心配だったこともあって、たまにだが近所のカフェで彼女と会ったりした。
会っても話す内容は、「元気か」とか「宿題は終わったか」という簡素なものだったし、猫宮も「ふつう」とか「ぜんぜん」といった感じの返答だったが、それでも会いたくないと言われることはなかった。
話し相手がいるだけでも少しは気の持ちようも違ったのだろう。猫宮の反応は薄かったが、少しだけうれしそうな声のような気もした。
そして、夏休み明け。
猫宮は夏休み前に比べて晴れやかな顔をしていた。授業もきちんと受けれるようになり、ほんの少し表情のバリエーションも豊富になったように思う。
猫宮をいじめていた彼女らが学校に来ることはもうなかった。
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