3.忘れられない日

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「……さん、伊塚さん!」 「わっ!」  びっくりして目が覚めた。なんなんだ。 「もう、仕事してくださいよ。私が外出中なら寝ててもいいんですか?」  そうだった。小村が出掛けている間に溜まっていた仕事を片付けようとおもっていたんだった。てことは、終わってないのか。小人が代わりにやってくれればいいのに。 「ごめんごめん。お詫びに明日の昼飯おごるよ」  小村は少し考え込んで、ため息をつく。 「しょうがないなあ。駅前にできたレストランに連れて行ってくれるなら、許してあげます」  おもいがけない出費だ……。いつも、小村に仕事をしろと言っていたのが裏目に出たか。でもまあ、一回くらいならいいか。日頃の感謝も込めて連れて行くとしよう。 「ところで、何の夢見てたんですか?」  そういえば何の夢だったっけ。忘れてしまった。 「わかんないな……。なんとなくいい夢だった気がするが」  なんとなくいい夢だったのは確かだ。空が綺麗だったような。気にしだすとこういうのは永遠に気になるからなあ。  もう一度、同じ夢を見たい。
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