21人が本棚に入れています
本棚に追加
こまった顔のどろぼうさんを見て、みよちゃんは「そうだ!」と声をあげた。
「じゃあ、どっちへ帰りたいか、かさくんに決めてもらおうよ」
みよちゃんと、どろぼうさん。どっちのところへ帰りたいかって?
うーん、うーん、そうだなぁ……。
ぼくはポンッと体を開いて、ふわっとお空にまい上がる。
そして、そのままくるくると回りながら、みよちゃんのうでの中に下りてった。
「かさくん、こっちがいいの?」
みよちゃんの顔が、お日さまみたいにパァッと明るくなった。
どろぼうさん、ううん、おにいさん。ごめんね。
おにいさんのこともすきだけど、ぼくはやっぱり、みよちゃんとおとうさんとおかあさんといっしょがいいな。
今まで、ぼくを使ってくれてありがとう。
おにいさんは、ちょっとさびしそうな、安心したような顔でわらってた。
「今までありがとう、かさくん。元気でね」
最初のコメントを投稿しよう!