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どろぼうさんのお家にやってきて、いったい何日すぎたかな。
どろぼうさんはいつも、ひとりぼっち。
なんだか少し、さみしそう。
朝がきて、夜がきて、朝がきて、また夜がくる。
あれから、何日すぎたかな。
「そろそろ、返さないとな」
どろぼうさん、ぼくをつれて出かけてく。
やっとお家に、帰れるのかな。
とちゅうで雨が、ふってきた。
どろぼうさん、あわててぼくを広げてる。
「おや」
どろぼうさんが見つめる先、バス停の屋根の下、女の人が立っている。
女の人は、泣きそうな顔をして、お空をずっと見上げてる。
「よかったら、かさ、使ってください」
どろぼうさん、女の人にぼくをてわたした。
「まあ。でも、あなたがぬれてしまいますよ」
「ぼくは、平気です」
そう言うと、どろぼうさん、雨の中を走ってく。
「きれいなかさね」
女の人は、うれしそうにわらってた。
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