ルサンチマン

138/153

36人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
明美の元に書留で清田から離婚届が送られてきた。 明美は清田からLINEをブロックされ、電話は着信拒否された。 世間は鬼母清田明美をバッシングした。 そして、明美に嵌められた10歳年下の清田秀人に世間は同情的だった。 明美は秀人と出会った大宮のスナックふゆこのママ久保冬子50歳に説得され、清田秀人との離婚届を提出した。 明美は再び、熊川明美になった。 そして、ローズをさいたま女学園小学校からいわき市の公立小学校に転校させた。明美はローズを連れ、逃げるように北へ向かった。 明美は駐車場の警備員の仕事を得た。 しかし、長くは続かず生活保護を受けることになった。 安藤勝広は簡易宿泊所を出て、博多駅の地下街のコインロッカーに向かった。 安藤はコインロッカーからトラベルバックを出した。 トラベルバックには6450万入っていた。トラベルバックの6450万から財布に五万入れているとき、少年ギャングにボコボコにされ、トラベルバックを強奪された。 しかし、警察になど届けられない。 なぜなら、俺は慶陽大学日吉台キャンパスサークル棟大火災の放火魔であり北新地のクラブ和恵のママ沼田和恵メッタ刺しの凶悪犯なのだ。 安藤は頭を蹴られ額を切り、血が流れた。血をハンドタオルで抑えた。 消毒と包帯をドラッグストアで買った。 路上で包帯を巻いた。 それに包帯隠しに100均で黒のニット帽を買った。逃げるしかない。 逃げて逃げて逃げ伸びる。 安藤はそう思った。 安藤はなけなしの金で博多から玄海島へのフェリーの切符を買い、博多から乗り込んだ。 ソファーに横になった。 35分で到着した。 あっという間の旅だった。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加