ルサンチマン

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みゆきのスマホが鳴った。 「みゆき、そろそろお昼だからね。 てっちゃん連れて帰っておいで。」 「了解です。」 みゆきは浜から腰を上げた。 安藤は大浜を振り返った。 民宿ひら川に帰るとカレーの香ばしい匂いがした。 食堂には野菜サラダが用意されていた。 逸子はカレー鍋を回していた。 「てっちゃん、具沢山派、ルー多め派、 どっち?」 逸子は安藤に尋ねた。 「具沢山でお願いします。」 「ご飯、普通盛り、大盛り?」 みゆきが尋ねた。 「大盛りで。」 安藤はカレーを口に入れた。 「女将さん、絶品ですね。」 「ありがとう。嬉しいわ。」 笑顔の逸子。 野菜サラダには和風ドレッシング、胡麻ドレッシングが用意されていた。 安藤は和風ドレッシング、胡麻ドレッシングを半分ずつ掛けた。 新鮮な野菜が美味しかった。 「女将さん、ご馳走さまでした。」 安藤は流しに食べ終えた食器を持っていった。 部屋に戻り、リュックを開けた。 財布には五万しか入っていなかった。 博多で少年ギャングにトラベルバッグの大金を奪われたなどとは言えなかった。 「博多の宿泊施設を一斉に回るぞ。」 意気込む末松。
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