ルサンチマン

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案内係に安藤のモンタージュ写真を見せた。「よく似た兄ちゃんなら、三日前までここにいたよ。」 案内の初老の男がボソッと言った。 「どこの部屋に?」 末松が尋ねた。 「107だよ。 でも、もう掃除しちまったよ。」 「今泊まってる人は?」 「空き部屋だよ。」 鑑識がやって来た。 小型冷蔵庫に安藤勝広のものと見られる指紋が採取された。 安藤は朝4時に起き、顔を洗い、歯を磨いた。 着古したスウェットにズボン、コート姿で魚市場に向かった。 まだ暗い。 市場の中央に林水産はある。 電気がついていた。 「おはようございます。 今日からお世話になる立花哲二です。 宜しくお願いします。」 安藤は頭を下げた。 「宜しく。 これに着替えて。」 安藤は作業ジャンパーとズボン、長靴を渡されて、着替えた。 安藤は裏で着替えた。 「まずは掃除だ。」 安藤はブラシで床をこすり、ホースで水を流した。 かなり力のいる仕事だった。 「次は魚の加工だ。 魚の内臓を取り出し、骨を取って、カワを剥いだ。」 主婦のパートの真似をして見よう見真似で行った。 アジの内臓を取り出し、綺麗に捌いて干物作業もやった。
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