ルサンチマン

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サカナを機械でミンチにし、つくねのカタチに整える作業も行った。 魚市場での労働は8時間ぶっ続けで行われた。 つみれ汁が出された。 安藤の五臓六腑に染み渡った。 民宿ひら川に戻り、安藤は爆睡した。 「フェリーだ。 安藤勝広は下関から小倉にもフェリーで向かった。」 末松は怒鳴った。 「壹岐、対馬、五島があります。」 梨田はスマホを見た。 「これは刑事の勘だがなぁ、安藤勝広はそんな遠くには行ってないはずだ。」 末松は断言した。 「志賀島、玄界島、能古島、子呂島。」 梨田はスマホを読み上げた。 「安藤、安藤勝広はなぁ。 もう流石に疲れたと思うわ。 博多から近い島にいる、きっと。」 末松がボソッと呟いた。 「能古島ですかね。」 末松と梨田は能古島に向かった。 安藤は夕方に目が覚めた。 みゆきに小鷹神社を案内してもらう。 「市場の仕事キツいでしょ?」 「ハード。 初日から疲れたなぁ。 でも、仕事があるだけ有り難い。」 安藤とみゆきは小鷹神社をぶらついた。 「荘厳だな。」 「私も心洗われる。」 みゆきは安藤にカイロを渡した。 「ありがとな。」 安藤はみゆきの優しさが嬉しかった。
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