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末松と梨田は能古島の宿泊施設の全てをあたった。
安藤勝広は見当たらなかった。
商店街や飲食店でも聴き込みをした。
「ここはアウトだな。」
末松が呟いた。
「明日は子呂島だ。」
末松と梨田は民宿能古に泊まった。
「メバルの煮付けだよ。」
逸子がよそり、みゆきが運んだ。
ほうれん草の味噌汁、揚げ出し豆腐、茄子の漬物がひら川の食卓に並んだ。
翌朝、安藤は朝4時に起きて魚市場に向かった。
末松と梨田は朝食後、子呂島に向かった。安藤は掃除、内臓の取り出し、加工作業を行なった。
8時間みっちり働いた。
クタクタになった。
いか汁が出された。
醤油たっぷりの野菜汁だ。
安藤はじっくり味わった。
末松と梨田は一日中子呂島を駆けずり回った。
安藤は民宿ひら川で熟睡後、みゆきに海食洞窟を案内してもらった。
「海が青い。
エーゲ海みたいだ。」
安藤は感動した。
「エーゲ海行ったことあるの?」
「ない。
たぶん、永遠に行けない。
永遠に。」
「どういう意味?」
安藤は笑って誤魔化した。
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