ルサンチマン

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安藤は民宿に戻り、サバの味噌煮、いんげんの白和え、玉ねぎの味噌汁、たくわんの夕食を頂いた。 「明日は志賀島かぁ。」 梨田は末松にビールを注いだ。 「安藤、安藤勝広待ってろ。 絶対、捕まえてやる。」 末松は鯛の刺身を食べた。 安藤は魚市場で仕事をした。 働いた後、カサゴ汁を味わった。 末松と梨田は志賀島に到着した。 「今までと比べてデカい島だ。 宿泊施設や商店街や飲食店全部回るぞ、梨田。二日掛かりだ。」 末松が呟いた。 末松と梨田は一日中宿泊施設を回った。安藤勝広らしき人物はいない。 民宿ひら川の夕食にはアジフライ、大根と油揚げの味噌汁、ひじき、キュウリが並んだ。 みゆきは安藤を呼びに行った。 既に安藤の姿はなかった。 翌日も末松と梨田は一日中商店街や飲食店を回った。 収穫はなかった。 「明日は玄界島だ。」 末松は呟いた。 安藤はスーパークミコでロープを買った。ひとり、遠い海を見つめた。 人気のない山や森を彷徨った。 末松と梨田は玄界島の商店街で安藤勝広の聴き込みを行った。 特に収穫はなかった。 一軒目の民宿あずまは外れだった。 次に民宿ひら川を当たった。 「警察です。 この男を探しています。」 末松は逸子に安藤の写真を見せた。 「てっちゃんかしら。 立花哲二。 バックパッカーの。 昨日までうちにいた。 突然いなくなったの。」 「突然いなくなった? すみませんが、その男の部屋を見せて頂けませんか?」 末松と梨田は頭を下げた。 逸子は鶴の間に案内した。 こじんまりした六畳間だった。 既にも抜けの殻だった。 梨田が小さなタンスの引き出しから封筒に入った手紙を見つけた。 中には安藤が書いた思われる手紙が入っていた。
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