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慶陽大学日吉台キャンパスサークル棟にガソリンを撒き、火をつけたのです。
死者を45名出しました。
僕は45人の命を奪いました。
全ては僕の汚れた欲望を満たすためにです。僕は逃げました。
とにかくどこか遠くに。
気づいたら静岡、大阪、福岡、玄界島へ
と逃亡しました。
僕は女の人を利用しました。
僕はセックスで女を服従させました。
大阪では更に面倒を見てくれていたクラブのママが自分の母親に見えて錯乱し、腹をメッタ刺しにして殺しました。
血飛沫が顔に飛びました。
僕はシャワーを浴びて逃げました。
そして、下関からフェリーで小倉に行きました。また女に寄生しました。
その女は僕と出会って、人生が狂ってしまいました。
女は働いていた信用金庫で一億円横領しました。
全ては僕が原因です。
SNSでも僻みの感情から罵声のコメントを吐くなど人格が酷く歪んでいました。
僕にはドス黒い感情が渦巻いています。
恵まれた人間に悪意がありました。
憎くて憎くて仕方ありませんでした。
絶対に許せなかった。
僕はずっとずっと被害者意識の塊で生きてきました。
僕は不幸だ。なんで僕ばっかりって。
空はいつもどんよりと曇ってました。
僕は輝く星を見たこともありません。
楽しみもなければ喜びもありませんでした。哀しみと怒りが僕の全てを支配していました。
明るい世界が見たかった。
愛されたかった。
夢を叶えたかった。
友達がほしかった。
否定していた母親のように性に溺れて僕は汚れてしまいました。
僕は汚れた醜い人間です。
僕はたくさんの人を殺した罪を自らの手で罰します。
僕は自分で自分を死刑にします。
生きている資格はありません。
僕は本来生まれてきてはいけない人間でした。
僕の存在が多くの人を苦しめた。
さようなら。
そして、ごめんなさい。」
安藤勝広
末松は安藤の手紙を読んだ。
末松と梨田は玄界島中走り回った。
山や森を走って走って走り回った。
末松と梨田は海辺にたどり着いた。
海辺に小さな小屋を見つけた。
末松が小屋を開けた。
安藤が首を吊ろうとしていた。
梨田が安藤を保護した。
「死なせてくれ。
頼むから死なせてくれ。
生きている資格はない。」
「資格?何ぬるいこと言ってんだ。
安藤、だったら法に裁かれろ。
自分で自分を裁くなんてのはただの逃げだぞ。
お前の人生逃げてばっかりじゃないか。
生きてしっかり裁かれろ。
それがお前の贖罪だ。」
末松は安藤を強くビンタした。
三人は小屋から出た。
そこは綺麗な砂浜だった。
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