極寒に輝く爆炎

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極寒に輝く爆炎

 イヴェルカーナの勾玉を宿した少女は力強くも華麗に宙を舞うように闘っていた。  さながら踊るバレリーナである‥‥。  「ガフッ!」  「分は私にあるようね」  足元の真っ白な雪が血で赤く染まる。  腹に直接冷気を纏った拳を喰らい龍雅は血を吐く。  ―――――‥‥‥この女は化け物だ。  人生で今までこれほどの緊迫感を彼が抱いた事があったろうか。  ミ・ルのスピードモードで舞雪の攻撃を躱しつつ闘っていたが、休む間もなく能力を行使し徐々に龍雅は攻撃を受ける回数が増えてきていた。    ペロッと舞雪は手に付着した龍雅の血を舐める。  「私と違って甘美な血ね‥‥興奮しちゃう」  「イカレ女め‥‥!」  美しいダイヤモンドダストが煌めくがそれは龍雅の命を狩るため。  太陽の光を吹雪が遮り竜巻が起きた。  流石に風を扱う事に長けた、鋼龍クシャルダオラ、嵐龍アマツマガツチ、風神龍イブシマキヒコに比べれば規模は小さいが氷の結晶がそれらの龍と謙遜ないしは上回る破壊力を生み出している。  疲弊した龍雅にその美しき氷の狂飆を止める術はなかった。  「ガァ‥‥!」 氷点下の地獄が彼の身体を襲う。  「ガァァァァァァァァァァァッ!」  血を吐いた、腹に穴が開いた、片目が氷で潰された‥‥‥‥そのまま彼は雪の上に倒れた。  「ダメージ受けすぎたでしょう‥‥。回復がかなり遅れてる」  舞雪の背中から生える蒼白い双翼に氷雪が集まっていく。  さらなる冷気を纏い龍雅を殺す為に。  「ふっ‥‥ハッハッハッハッハッハ!」  だが絶望を目前にして尚、黒輝龍雅は笑っている。    「あら?今度は貴方が気を違えて?」    勝負はもう見えていると言うのにまだこの男には勝算でもあるのか?。と舞雪は不思議そうに首を傾げた。    「お前のおかげで俺の結晶壁は破られた。今度はより強い結晶を生み出す修行をしなければならんな‥‥」  「それが貴方の今際の言葉ね」  翼を羽ばたかせ猛吹雪で龍雅を凍らせようとした瞬間―――――。  「がっ!、ぎゃあぁぁぁぁぁ‥‥あっぁあぁぁぁぁぁぁぁっ!」  ボォォォォォォォォォォォン!。と周囲の雪が蒼炎と共に一瞬で蒸発し莫大な炎が舞雪を襲ったのだ。  「ぐぅぅ熱い‥‥!。これは一体‥‥‥!何をしたの!?」  「簡単な事だ」  ピン、と人差し指を上げる。  「お前に削られた結晶を一気に燃やした」  「何ですって‥‥!」  有り得ないと言わんばかりの驚愕の表情を彼女は見せる。    まさか自分のモンスターの能力をここまで最大限に引き出すとは、それにより舞雪は形勢逆転されている。  「面白い勾玉使いだこと‥‥」  「むっ‥‥」  彼女は再度翼を羽ばたかせ火傷した箇所に雪や氷が集まる。  「もっと雪原で踊りたかったけれど時間切れですね。学校に行かなきゃいけないわ」  「ふ、そうか。綺里華、また会えるのを楽しみにしてるぞ」  「私もよ黒輝君」  冰龍と黒狐竜の勾玉使いは互いに微笑みながら幻影の世界から現実世界へと戻った。    「龍雅君!」  待っていた姫華は彼に駆け寄る。  「おう。姫華。中々手強い相手だった。俺の強さの設計もまだまだだな」  「貴方にそう言わしめるんだから相当強いんでしょうね。私も強くなるわ。皇帝を目指す為に」  「いい心意気だ」  二人は公園を後にした。
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