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その日の夜、東郷は伊達の誘いで飲みに行く事になった。
「東郷さん、今日はお疲れさまでした」
「困った時はお互い様だよ」
二人はビールで乾杯した。
「今は秋刀魚の刺身が美味しいんですよ!」
「漁港も近いし新鮮な魚が安いんだろうね」
伊達に進められて秋刀魚の刺身を頬張った。
「…そう言えば伊達くんの家族はどうしたんだい?」
東郷は伊達一人しかいなかった事を気にした。
「祖父母が避難所にいるので両親も付き添いでそっちに…
明日には戻ってきます」
「そうか…怪我とかじゃなくて良かった」
東郷は一安心した。
「…明日には早苗ちゃんも来ると思うから、家の中で何か手伝う事があったら頼むと良い」
「ふ、藤田さんが!?
…自分は東郷さんにお願いしますって連絡したのに!?」
伊達は驚いた。
「…うちに頼めば大抵早苗ちゃんも付いてくるよ」
「そうなんですか!?」
(…まあ、早苗ちゃんにしてみれば渡りに船なんだろうけどね)
東郷は小声で呟いた。
早苗には伊達の実家に挨拶出来るという思いがあるようだ。
「今日は何処に泊まるんですか?
急に来てもらったから宿とか取ってないでしょ?」
「車の中で大丈夫だから…」
「だったら、うちに泊まって下さいよ!」
「ボランティアが被災者に迷惑掛ける訳にはいかないからな…
俺の代わりに、早苗ちゃんは泊めてあげてくれよ」
車中泊や野宿は自衛隊上がりの東郷にはどうと言う事はない。
二人は食事を終えて別れた。
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