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おれは中津(なかつ) (ぜん)。 県内でいくつかのチェーンを持つ喫茶店NOV(ノヴ)コーヒーで働いている。 バイト・パート・社員合わせて12人を束ねる店舗の、 リーダーをやらせてもらっている。 うちの店舗は高校や大学、専門学校が近いせいか、お客様も店員も、 比較的若い子が多い。 かなり和気あいあいと仕事のできる現場で、 店員の入れ替わりも少ない。 ちょうど2年前。 大学1年生の彼、鹿間(しかま) 和里(より)君がバイトとして、 うちの店にやってきた。 本当に普通の,アベレージな感じの大学生だった。 しかし、彼は天性の人たらしというか、順応性のある性格というか、 とにかくお客様からも、ほかの店員からもが良かった。 俺も例にもれず、彼に好意を持っていた。 いや、このときはまだ、人として好きだった。 でも次第に胸の中に、何とも言えない彼への気持ちが芽生えていることに気づいてしまった…。
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