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和里(より)君 お疲れ様。」 予想通り、彼はいい仕事をしてくれた。 さらに、どのパートともバイトとも、社員とだってうまくやっていた。 ただ、特技はあまり活かせていない。(笑) 「ゼンさんお疲れです。」 人懐っこい笑顔で挨拶してくる。 十代がまぶしく感じるなんて、俺も年を取ったなぁ。 と苦笑してしまう。 「そういえば、来月メンテナンスで、店3日休むってほんとですか?」 「あぁうん。うちは8月に各店舗3日休んで、いろいろやるんだよね。」 うち2日間は、俺たち社員も完全な休みだ。 「森山さんに聞いたんですけど、その時懇親会あるって」 あぁ、森山さんもう話したんだ。 「うん、でも参加は強制じゃないから…」 「俺行きたいです!」 俺の声を半ば遮って、食い気味に参加表明をしてきた。 「…あ、そ、そう?よかった。」 ちょっと押されてしまう。 「もちろんゼンさんも参加ですよね?」 「あ、うん。一応主催者だからね」 「よっしゃぁ」 なんだかわからないけど喜んでくれている。 「ほとんど全員参加してくれるみたいだから、楽しんでね」 と一応言っておく。 おそらく、そういうのが好きなのだろうと思っていたら、 思いがけない一言を聞かされる。 「ゼンさんとご飯行くことないから、むちゃくちゃ楽しみです。」 「え?」 「俺、ゼンさんに聞きたいこととかいっぱいあって」 目をキラキラさせている和里君に、不覚にもドキッとしてしまう。 「え?」 少しどぎまぎしてしまう。 「ゼンさんて、THE大人の男って感じじゃないですか? 俺、そういうのほんとあこがれてて、なんていうか、 俺って落ち着きないっていうか…。どうしたらゼンさんみたいな、 男になれるのか気になっちゃって…。」 と一気にまくし立ててきた。 「…ハハ、あぁ、うんなんか、ありがとう」 「だから、仕事以外の時間にいろいろ教えてもらいたくて」 いや、特になんもないし、逆にその社交性を教えてほしいよ。 と思ったけど、声には出さず曖昧に笑っておいた。 「じゃ、来月楽しみにしてます」 お疲れっしたぁ!と嵐のように帰っていった。 にっ!と最後に見せたその笑顔に、なぜか俺はきゅんとしてしまう。 何この感情? 彼が帰っていった事務所は必要以上に静まり返っていた。
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