3人が本棚に入れています
本棚に追加
『爽雨ー! 泊まってもいいって! ·····ってあれ?』
戻ってきた友達が、きょとんとした顔をして、辺りを見回していた。
僕の姿が見えてない。
『急にかくれんぼー? どこに行ったのー?』
「僕はここにいるよ! ねぇ!」
腕が緩んだことを好機に、僕は急いで友達の元へ向かおうとした。だが、まるで見えない壁があるかのように友達の元へは行けなかった。
それでも叩きつけていると、自身の部屋が、友達の姿が、少しずつ暗闇に飲み込まれていくのが分かり、悲鳴を上げた。
「雨が上がるみたいだね」
なんてこともないように言うあめの方に振り返った。
「それはどういうこと?」
「次の荒れた天気まで、爽雨と僕は、ずっとここにいるってこと。というよりも、爽雨はそれを望んでくれていたでしょう? 僕たち、"ひみつのともだち"だもんね」
「ぼ、僕はそんなこと·····」
声が震えていた。恐怖を覚えている。
──ぼくは、もっとあめといっしょにいたい!
──だったら、そうつよくおもうのなら、りょうてをまどにあわせて。
あの時のことが脳裏に浮かび、そして、無邪気にそう望んでしまった己の発言に後悔をした。
背後ではくぐもった友達の声が、遠くに聞こえてきたことにより、僕は再度振り返る。
瞬間、目の前は真っ暗となり、雨音さえも聞こえなくなった。
「あ·····あぁ·····」
わななき、後退りをすると、後ろにいたあめが腕を回す。
「これで二人きりだね。僕はずっと友達だよ。ずっと、ずっとね·····」
最初のコメントを投稿しよう!